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結構忙しい?遊牧民の1日

遊牧民といえば、「ノマドライフを体現している自由人」のようなイメージがあるかもしれない。

遊牧民がどんな生活をしているのかその1日を僕の知る範囲でお伝えしよう。

遊牧民の朝は早く忙しい

遊牧民の朝は日の出とともに始まる。

羊を放牧に出したり、牛の乳搾りをしたり、昨日から放牧している馬たちを探しに行く。また牛の乳搾りだけではなく、羊・ヤギ・ラクダ・ヤクの乳を絞るところもある。

牛の乳搾り

ヤギの乳搾りは首をつないで行う

馬は次の日の乗馬用を除いては放し飼い。乗馬用になった馬は、地面に大きな杭を差し、数メートルの長さのひもを前足にくくりつけておく。遠くへ行かないようにするため。

他の馬たちは好きなところで大地を自由に駆けて草を食む。馬にとって一番の幸せだろうとモンゴル人は得意げに言う。
ただ、馬の場所を把握しておく必要はあり、狼に追われて遠くへ行ってしまったり、家畜泥棒に盗まれないように大体の場所は把握しておく。遊牧民は、1日のうちの何回かは馬群を探しに行って、ゲルの方向へ向けて追い込んだりして遠くへいかないようにする。

家畜を探す遊牧民

羊と牛は柵を開けたら勝手に草を喰みにいきます。ちなみに牛は夕方になると勝手にゲルのまわりに集まってくるんです。なんとも賢く手間のかからない牛ですね!

家畜をあらかた追ったら朝ごはんです。モンゴル人の朝は簡単なものがおおく、パンにウルムというクリームをつけて食べたりします。搾りたての牛乳をあわ立てて1日置いておくと、ウルムのできあがり!

右下の黄色いのがウルム。うまい〜!

食後はゆっくりしたり、羊が夜の間休んでいる柵内の掃除をしたり、燃料にするための糞を拾う。モンゴルには木があまりないので、動物の糞を燃やして火を焚く。
馬の糞が一番燃え易いので火起こしは馬の糞、大きな牛の糞はその後に火にくべると、火がよく持つ。

昼食

モンゴルの昼食は1日のメインになるのでたくさん食べる。焼きうどんのようなツォイワン、小籠包のようなポーズ、野菜や肉の入ったスープのノゴーティシュルなどバリエーション豊か。
動物の糞でおこした火を使って、大きな鉄鍋で料理。
モンゴルミルクティーのスーティツァイも添えて。
羊は体温を上げる効果があるので、体にとてもいい!油のも溶けやすいので体に残らない。ヘルシー料理!

伝統料理のボーズ。羊の肉汁たっぷり!

昼食後は近くの遊牧民の家に遊びに行ったり、昼寝をしたり、家畜を見に行ったりします。家畜がいなくなってしまった時は、携帯電話で隣近所の遊牧民と連絡を取り合い「俺の羊を見なかったか?」などと聞いたりしています。それでも見つからない時は占いで探すことも。。。

馬乳酒作り

大地に杭を打ち込んで張ったロープに、仔馬を繋いでいる。

1歳になる馬は、元気に育つようにとモンゴルでは尊い色とされている青い布を頭に結ぶ。

1歳と2歳の乳を飲む仔馬を繋ぐ。1歳の馬はなんとか一人でも捕まえてロープのところまで持って行くことができるが、2歳になるともう大変!大の男が二人掛かりになる。馬は当然だが、捕まえられるのをすごく嫌がる。特に1歳や2歳の馬は捕まえ慣れていないためか、捕まってしまった時は体がぶるぶる震えて少しかわいそうな気も・・・

大人の馬は最初は嫌がって抵抗するが、手綱がついてしまってからは「あ〜あ、まあいいや」ってな感じで大人しく人間に従うのが可愛い。

仔馬を全部捕まえたら、次は母馬の番。

乳がでる時は、いきりたっているのかすごく危ない。乗馬のために馬を捕まえるのに比べてとても危なくて大変。

また乳絞り中に暴れないよう、足を紐で結ぶのも嫌がってなかなか結ばせてくれないことも。

落ち着いた母馬を仔馬の近くへ連れて行き、仔馬の縄をほどいてまずは乳を飲ませる。少し飲ませてからそっと人間がバケツを持って絞りに行く。母馬は乳が我が子に与えられていないことに気づいているのだろうか・・・

乳搾りは女性の仕事だ。どんなに忙しそうに他の仕事をしていても、普段は大声を出さないモンゴル人の男が「準備できたぞ。はやくこい」とせかす。僕も近くで写真を撮ろうとしたら、「馬が興奮するから離れていろ」と何回も言われる。けど何回も近づいていると、「やってみるか?」と仔馬をロープから離して母馬に飲ませてすぐに引き離す仕事をさせてもらえた。ただ仔馬の乳飲みへの欲求が強すぎて非力な僕では引き離すことができなかったけど。

暗くなる前に、馬以外の家畜は柵の中に集め。柵の中に入れておかないと狼がきて食べられてしまう。

夕食時には、ご飯を食べながら太陽光パネルと衛星アンテナで韓流ドラマを家族で観る。韓流ドラマは展開がわかりやすいので忙しい遊牧民にぴったり合っているようだ。
遊牧民の夜は遅く、12時ぐらいまでみんなでしゃべっていることも。突然でもお客さんがきたらもてなすのがモンゴル流。
気分がのってきたらアルコール度数40度にもなるモンゴルウオッカで回し飲みが始まることも。家で一番えらい年長のお父さんのコップにウオッカを満たし、お父さんが中指にウオッカをつけて天に捧げ、次は自分の額につけ、最後に一気飲みをするのが習わし。年齢順や客人からなど、全員に一杯ずつウオッカがまわっていく。飲めない人は口をつけるだけでも良い。ウオッカがなくなるまでこの回し飲みは続くのだ。

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