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第5回モンゴルを食べる モンゴルでしか味わえないもの

冬ぶりの投稿となります、食記事担当のYukiです(^^)今回は、モンゴルでしか味わえないものの紹介です。モンゴルの田舎に行く機会があれば、ぜひご賞味ください♫

季節によって食べるものが変わる

モンゴルは伝統的に夏は白い食べ物(乳製品)、冬は赤い食べ物(肉料理)を食べてきたと言われています。まずはその紹介から。

白い食べ物

モンゴルでは、6〜8月の夏の期間は主に白い食べ物である乳製品を食べてきたと言われています。3〜5月の春に家畜が生まれるため、夏にかけて母家畜の出すミルクの量が増えていきます。暖かく乾燥した夏の気候が、乳製品加工に適しているのも理由の一つでしょうね。

赤い食べ物

秋からは徐々に赤い食べ物である肉製品の消費量が増えていきます。家畜が最も肥えた秋に屠殺し、骨つき肉の状態で分け、小屋の中で凍らせたり、乾燥肉に加工したりして、114月ごろにかけて消費していきます(冬の仕事参照)。もちろん、血や内臓も加工したり塩茹でしたりして食べます。

最近では

現在では、ウランバートルなどの都市でも、遊牧地域でも、季節の区別なく一年中肉が食べられています。一方、乳製品は私が今年の3月にモンゴルに行った時にはあまりみられませんでした。今でも季節で食べられるものの違いは残っているようですね。

さて、今回は乳製品を中心に紹介します。出会えるレベルを★で示すので、ご参考までにどうぞ(^^)

 

モンゴルでしか食べられない乳製品

ウルム(パン等につけるクリーム)

出会えるレベル:★★★☆☆

ウルムの詳細は下記に書いているように、日本ではまず食べられません。日本では牛乳など乳搾りをした後、製品として出すために高温殺菌します。また、夏に気温も湿気も高い日本では、モンゴルで行われている作り方(加熱後一晩放置)ではすぐ腐ってしまうからです。

第3回モンゴルを食べる 変幻自在!夏のミルク製品

去年から今年(2017年~2018)にかけて、8月、11月、3月と3度モンゴルを訪れました。その際いずれもウルムを食べる機会がありましたが、圧倒的に8月のウルムが新鮮×濃厚で美味しかったです!

ちょっとパサパサした薄切りのパンにウルムを塗り、その上に少し砂糖をかけていただくのがねー、美味しいんですよ!スーテーツァイ(塩入り乳茶。次に紹介します)に入れて飲むのも通です。

スーテーツァイ(塩入り乳茶)

出会えるレベル:★★★★★

これは比較的どこでも飲めます。上の写真の左下に写ってるのがスーテーツァイです。特に田舎では、朝ごはんの時にパンやボールツォク(揚げた小さいパンのようなもの)と一緒に飲みます。

また、都会でもゴアンズ(大衆的なモンゴル料理レストラン)で一杯30円ぐらいで飲めますし、お客として誰かの家を訪ねれば最初にふるまわれます。必ず塩が入っているわけではなく、家庭・地域によっては塩なし乳茶を常飲します。個人的には、塩入りがオススメです。慣れると、塩なしでは物足りなく感じます。

アーロール(乾燥チーズ)


出会えるレベル:★★★★☆

チーズ関係も、先ほど紹介した記事内にまとめています。これはぜひ草原で食べていただきたい!というのも、一度お土産として日本に持ち帰った時、湿気のせいで臭いがきつく感じて食べられなかった経験があるんですよね。

第3回モンゴルを食べる 変幻自在!夏のミルク製品

酸っぱくてパサついてて少し油っぽい、日本人にとっては不思議な食べ物だと思います。私も最初は苦手でしたが、最近は田舎に行くとついつい食べたくなります。砂糖入りのもあります。砂糖なしのアーロールは、角砂糖と一緒に食べるのが遊牧スタイル!

市内では遊牧民が作ったもの以外にも、商品としてパックされて売られているもの(砂糖入りで甘い)のも手に入ります。

タラク(ヨーグルト)


出会えるレベル:★★★★☆

日本で食べるヨーグルトと似ていますが、食べる時期や、発酵させている時間(日数)によって酸っぱさが違うのが面白いです。そのままだけだと酸っぱく感じる時は、粉砂糖をお好みで入れて召し上がれ〜(^^)どの家畜のミルクを使っているのかでも味が変わるので、いろんな家庭の食べ比べができたら楽しいですね。

ちなみに、日本とモンゴルとでは、食べる時間にも違いがあります。日本ではなんとなく朝に食べるイメージの強いヨーグルト。ところが、モンゴルでは寝る前に「飲む」ものだと考えられています。ヨーグルトには眠気を誘う作用があるとされているためです。ゲルのちびっ子たちは、好きな時間に好きなだけ食べてますけどね(笑)

アイラク(馬乳酒)

出会えるレベル:★★☆☆☆

これもモンゴルならでは。日本の乳酸菌飲料「カルピス」の発想がこれから生まれたことで有名です。馬に限らず、他の家畜のミルクから作ったものもアイラクと呼ばれます。伝統的な作り方では、牛の皮に馬乳を入れ、木の棒で何千回も攪拌させてアルコール発酵させていきます。田舎暮らしにおける重労働の一つなので、家族が交代でかき混ぜたり、カードゲームなどの罰ゲームとして負けた人が混ぜたりします。

味は酸っぱく、微アルコールな飲み物ですが、小さい子どもからおじいちゃんおばあちゃんまで、幅広く飲まれている飲み物です。モンゴル人がお酒に強いのは、小さい頃からアイラクを飲んでるからじゃないかなぁ、と思ったり。慣れていない人がたくさん飲むと、高確率でお腹を壊します。「飲め、飲め」とすすめられますが、初めてのときは注意して飲みましょう。

どこの家庭でも作られているわけではないのと、夏にしか飲めないので★は2つにしました。

家畜のミルクの蒸留酒(アルヒ)

出会えるレベル:★☆☆☆☆

モンゴルも冬はロシアと同じように寒くなる国なので、よくウォッカを飲みます(※季節に関係なく)。ウォッカに似た無色透明のお酒として、ミルクの蒸留酒も作って飲みます。作り方はざっくり焼酎と同じですかね。5で紹介したアイラクを蒸留させます。蒸留の回数を増やすことでどんどんアルコールの度数が高くなっていきます。私も羊のミルクの蒸留酒を飲んだことがありますが、ほんのり羊のにおいがしました。焼酎・清酒好きはハマるかも!?

 

モンゴルでしか食べられない肉料理

さて、これまで白い食べ物について紹介したので、ここからは赤い食べ物であるお肉について書いていきます。

家畜は全部食べられる、利用できる

モンゴルで放牧されている家畜は主に5種類です。馬、牛、羊、ヤギ、ラクダです。その他にもヤクやトナカイなども飼われていますが、代表的なものは最初の5家畜です。どの遊牧家庭でも全ての家畜が育てられているわけではなく、地域・自然環境・家族の規模によってその種類も頭数もそれぞれです。

育てている家畜に共通しているのは、その家畜から得られるものは何でも利用できるということ。生きたまま取れる乳、毛、糞(燃料などになります)もあれば、屠畜した時に得られる肉、内臓、血(ソーセージにします)、皮などなど。以前は角を加工してコップのような容器にしたり、筋を乾燥させて糸にしたりしていたそうです。骨でも知恵の輪を作ったり、シャガイ(くるぶしの骨)で競馬ゲームをしたり、いろんなものに使えます。

 

ホルホグ(石焼羊肉)

出会えるレベル:★★★☆☆

何度か登場しているホルホグ。ナーダム(祭り)の時や、結婚式の時など、人が集まるお祝い事のときには欠かせない料理です。

これは、ミルク缶の中に羊の骨つき肉、根菜類、塩、水少々、熱々に熱した石を入れて蓋をし、外からも火にかけて食材を蒸し焼きにするというTHE男の青空草原料理です。

詳細は下記記事の「第1回 モンゴルを食べる ベストオブ羊肉」を参照くださ〜い!

都市部のお家などにお邪魔すると、鍋で作るチャナサン・マハ(お湯で湯がいた肉)を作ってくれることがあります。ホルホグを作れないときには、これがホルホグの代わりとして出されているようです。ホルホグ、チャナサン・マハどちらも合わせて出会えるレベル★3つです。

 

ボルツ(干し肉)

出会えるレベル:★☆☆☆☆

料理ではありませんが、紹介しておきたいのがこの牛の干し肉です。これは11月に冬・春用の肉を用意するときに一緒に作ります。1cm弱の薄さにスライスした肉に紐を通し、倉庫や小屋の中に干しておくと、数ヶ月後に乾燥した肉になっています。一度乾燥させてしまえば腐ることがなく、軽くて持ち運びに便利ということもあって、チンギス・ハーンの時代から重宝されていた保存食だとか。

写真は2016年の8月に、乗ってたタクシーの運転手の友達がいきなりくれたものです。2018年の3月にゆうすけさんのゲル(ツォクトナライハゲルキャンプ)にお邪魔したときも、ボルツタイ・シュル(ボルツ入りスープ。米も入ってました)を晩ごはんに出してもらいましたが、6度の渡蒙でボルツに遭遇したのはこの2回だけです。ということで星1つにしています。

最初噛んだ時はあまり噛み切れず、パサパサしてる印象を受けますが、しばらく噛んでいるとだんだんと肉の旨味が感じられます。

 

番外編

ボールツォク(揚げパン)

出会えるレベル:★★★★★

個人的に大好きなボールツォクの紹介を最後に。一口二口サイズで、朝スーテーツァイと一緒に食べます。基本常備されています。

小麦粉と混ぜるのは、ドライイースト、バター、ミルク、塩少々、水など。ボウルいっぱいに生地をこねて(重労働!)、しばらく暖炉のそばに放置。発酵が進んだら薄く伸ばし、切って油で揚げていきます。

生地を混ぜるときに材料と一緒に砂糖を加えたら、揚げ上がりの色が茶色っぽくなります。この砂糖入りボールツォクの揚げたてがたまらん!!ほんのり甘くて、外はサクッ中はふわっとした食感がなんとも言えません。

まだまだある!モンゴルでしか食べられないもの

乳製品に関していえば、モンゴルの遊牧地域では、家畜の乳から何十種類もの乳製品が加工できると言われています(現在それほど多くを加工している家庭は稀だと思いますが)。他にもビャスラク、アールツ、オンダー(ラクダのミルクを発酵させた飲み物)などなど…。今回紹介したものはほんの一部です。実際にモンゴルの草原に行って、新しい乳製品を発見してみてください(^^)

肉料理に関しても、まだまだたくさんあります。その一部を「第2回 モンゴルを食べる モンゴルの肉料理」で紹介しているので、気になる方はのぞいてみてください(^^)

いかがでしたか?少しでもモンゴルの食事情がお届けできていれば幸いです。とはいっても、景色や情報はネットだけでも見たり知ったりできますが、食べ物は実際に行って自分で経験してみないことには始まりませんよね。ぜひ、モンゴルを感じながら五感で味わってきてください!

それでは次回もお楽しみに〜。Yukiでした(^^)

yuki
「食」記事担当yukiです!趣味は旅、カメラ、ツーリング、家事、などなど。モンゴルに行ったら遊牧民のゲルにお邪魔して、羊や牛の搾乳をしたり馬に乗らせてもらったりしてます。モンゴルの伝統的な肉料理から都会のおしゃれカフェまで、いろんなジャンルの「食」について紹介していきまーす(^^)

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